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一般の方へ ~口腔セネストパチー~
口腔セネストパチーとは
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「口腔セネストパチー」とは、見た目では異常がないにも関わらず、「様々に変化する口腔の気持ち悪さ」が生じる病態です。
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「口の中がネバネバする」「膜が張っている」「ワイヤーなどの異物がある」といった、なかなか常識的には理解しづらい訴えが多いのですが(図1)、昔から幻覚や妄想ではなく「体内感覚の変質」と考えられていました。
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「ネバネバ」や「ベタベタ」など、はっきりと表現するのが困難な口腔内の不快感がありありと訴えられますが、患者さん本人は「実際に異物はない」と理解はしていることが多いようです。
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「口の症状」であるため、患者さんは精神科よりも歯科や耳鼻科などを受診することが圧倒的に多いことがわかっています。
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舌痛症(口腔灼熱症候群)と重複する症状も多く、はっきりとした分類が困難な場合も多くみられます。
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原因は依然として不明ですが、最近の研究では、側頭葉や前頭葉において左右の脳活動のアンバランスがあることがわかってきています(図2)。
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多くが難治性で、精神科のお薬の有効率は50%以下と言われています。
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基本的な対応としては,患者さんの苦痛は傾聴し、安易に否定しませんが、「変なものは変」であるため、当然のように肯定はしません。患者さんと「病気の成り立ちを一緒に探求する姿勢」が大切とされています。
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口以外に全身まで異常感覚が拡大する場合や、憂鬱で「死にたい」などの精神症状が強い場合は精神科と連携する必要があります。
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特に高齢者では、後々になって原因となっていた疾患がわかることもあります。ある種の認知症や口腔がんなどが出てこないか、定期的な経過観察と診断の見直しも重要です。


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